
2025年4月30日
2024年度第4回みんなの人権・映像フェスティバル入賞作品を公開しました
「2024年度第4回みんなの人権・映像フェスティバル」(主催:世界人権宣言大阪連絡会議)入賞作品をYouTubeで公開しました。ぜひご覧ください。
公開にあたって、フェスティバルの総評と入賞作品に対する講評をお伝えします。
【2024年度 総評】
第4回を迎えた今回は、応募が20作品と、今までで一番少なかった回でした。しかし、これまでは「思いやり」や「共生」がテーマの作品が多い印象でしたが、今回は「問題提起型」の作品が増えていたようです。「これは人権課題だ」と考え、その解決を社会に訴えようとする人たちが作品をつくり、応募してくださったことは、このフェスティバルの意義が広まっているように感じます。
一方で、大事なテーマや良い取材対象を取り上げているのに、撮影や編集に工夫が欲しい、課題に対する下調べが足りないと思われる作品が散見されました。制作者にどのようなサポートができるのか、主催者側の課題として検討しています。
また、残念ながら1次審査を通過した作品にも、「人権」を語るのに明らかに問題がある作品がありました。社会構造が引き起こす差別に気づくことは、人権教育・啓発の大きな課題です。本日お集まりのみなさまにも大いに議論していただきたいところです。
今回、「1分間動画賞」を設けて募集しましたが、圧倒的に応募が少なく、また1分間で人権を訴えることはハードルが高かったようで、該当作品は「なし」となりました。次回は「気軽につくってみよう」と「作品性」が共存できる賞を設けて、多くの方にご応募いただけるように企画します。
そして、入賞者のみなさまはじめ、制作者のみなさまにはさらに人権の価値、大切さを伝える作品作りに取り組んでいただけると幸いです。
【大賞】1億人のやまゆりプロジェクト ー2025 Short Film Ver.- おくやまプロジェクト
【あらすじ】
やまゆり園事件を考える為の「おくやまプロジェクト」。
そのインタビューアーカイブより再編集した短編です。
8人が語るそれぞれの想い。そこには色々な人権問題も見え隠れしています。
まずは耳を傾けることから。(制作者)
【評価のポイント】
・さまざまな立場の人が「やまゆり事件」について語る貴重なインタビュー集。それぞれの視点、言葉に重みを感じられ、訴える力が強かった。
・人権に関心がない人たちの共感を得られるか気になる発言もあった。 素材(取材対象者)のメッセージが強い分、編集でもっとポイントを絞る等の工夫があればさらに良くなったと思われる。
【優秀賞】スタンド・バイ・優 井上由紀夫
【あらすじ】
きこえる過保護なママと、きこえるお調子者のパパ、そしてきこえない女の子。ママが心配する一方で、パパは娘に「おつかい」という大きなミッションを託す。誰かを思う気持ちが人を強く優しく成長させる。これは、おつかいという名の冒険の物語だ。(制作者)
【評価のポイント】
・ミュージカル仕立てのエンタメ性が強い作品で、楽しく見ることができる。実際に聴覚障害者と思われる主人公のリアルな姿にも惹かれた。
・突拍子もない展開が魅力のひとつではあるけれど、壁にぶつかった時に実際に解決策となるような方法を描くと、さらに興味深い展開になったのではないか。
・前回は別の作品で応募していただいた。新たな作品でのチャレンジに敬意を表したい。
【特別賞】私的反外登法運動の記録・在日ー反乱する肖像 金 成日
【あらすじ】
80年代に高揚した反外登法運動は、ひとりひとりが自発的に指紋押捺義務を拒否するという形で大きな広がりを作り出したが、外国人登録証の常時携帯義務を集団で拒否するなど、もうひとつの闘いの私的記録をまとめた。(制作者)
【評価のポイント】
・貴重な歴史の記録。メッセージ性がとても強く、このようなマイノリティ当事者の運動があったことを多くの人に知って欲しい。
・もう少しエンタメ性、視聴者にとっての見やすさなど、「見せ方」の工夫を研究して欲しい。
2025年度「第5回みんなの人権・映像フェスティバル」も実施いたします。たくさんのご応募をお待ちしています。