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■差別投書・落書き・電話

 差別投書については、東京、長野、京都、奈良、和歌山などで事件が発生している。東京都内荒川区の施設では、「エタ死ね! お前たちは日本國民をなめているのか! いいかげんにしろ税金ドロボー アホ エター 死ぬれ」とシステム手帳にボールペンで書かれたメモがドアにはさまれているのが発見されている。これは本書の昨年度版に紹介した「荒川区都営住宅差別投書事件」と同一犯と考えられている。

 長野の事件のひとつは、A4用紙に大きく「○○家は、部落民だ」(○○家は実在)と書かれた文書が周辺などで合計10枚確認されているが、ここ数年、長野市では差別落書き・文書事件が多発している。

 京都では実在する個人の名前を騙った差別ハガキが連続したり、2003年1月に近畿や四国の各府県議会事務局に送付された『日刊政財界新聞』なる差別文書が再び京都市議会事務局に送付されている。

 和歌山では本書の昨年度版で紹介した「和歌山市職員による差別メール事件」で差別メールが送られた打田町で、ゲートボール場のゴミ箱に、人目につきやすいように「ここは同和地区ではありません……」という差別文書がおかれていた。

 落書きでは、連続性、同一犯の可能性、暴力的内容などの事件が今年度も傾向としてみられる。

 東京では、同一人物の犯行と考えられる差別落書きが2001年暮れから2003年度中までに9件確認されており、京都でも報告されている差別落書きのうちいくつかは連続事件と考えられている。

 大阪のハイキングコースでの差別落書きも昨年の「紀泉高原」「銀の峰」それぞれの事件と同一人物犯行とみられている。このほか、香川、高知でも連続した事件が起こっている。

  匿名性の高い落書きをなくしていくことは困難ではあるが、一つひとつのていねいな分析から方策を見出し、具体的な啓発や教育への教材や提言として活用していくことも大切である。

 また、花園大学の学生によるJR大阪駅トイレ内の差別落書きは友人に対する怨恨が動機であるが、友人を非難・攻撃するために部落差別を利用している。この犯人は友人が被差別部落出身でないことを知っていながら、インターネットの書き込みサイト「2ちゃんねる」などの影響をうけて差別落書きを書いたということである。あらためてインターネットの普及の拡がりに伴う社会的影響力の大きさと、これに対する法的規制を含めた対策が急がれるところである。

 電話については、長野で建設会社に「部落民のくせに」という電話がかけられている。最初はこの会社の工事現場の交通整理指導員の対応についての苦情であったが、やりとりの中で先の内容の発言がされた。