本書で紹介しきれていない差別事件もまだ多くあり、ここでは収集できた諸資料から、大阪の状況についてのみであるが、紹介しておく。
大阪府人権協会の集約によれば、2003年1月1日から同年12月31日の間に284件の差別事象が報告・確認されている。これは前年に比べて21件の増である。そのうち部落差別に関わっては193件であり、内訳は表1 のとおりとなるが、これも昨年に比べて19件の増である。
この間の差別事象の特徴として大阪府人権協会は、連続した差別投書や落書きがとくに多かったと指摘している。具体的には、<1>匿名の悪質な差別投書の多発、<2>昨年に続く連続差別落書きと、守口市、摂津市、八尾市などでの連続差別落書き、<3>相変わらず続いているインターネット上での巧妙な手口での書き込み、等である。
表1 (財団法人大阪府人権協会調べ)
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落書き |
発言 |
電話 |
投書 |
貼り紙 |
インター
ネット |
その他 |
計 |
部落差別 |
97 |
23 |
8 |
56 |
1 |
7 |
1 |
193 |
※ 確認体制
- 大阪府人権室、大阪府教育委員会、大阪市市民局人権啓発課、大阪市教育委員会、財団法人大阪府人権協会で確認したもの。
※ 集計方法
- 同一人によるなど連続した事件も1件として数えた。
- 部落差別と他の差別が複合して起こった事件の場合、それぞれ数え、集計している。
- 「落書き」の中には日誌、本のしおり等に書かれたものを含んでいる。「投書」は、特定の個人・団体あてに郵送、投げ込まれたもの、「貼り紙」は不特定の人に見られる可能性があるもの、というように分類した。
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