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(部落解放研究所編『図説・今日の部落差別(第3版)各地の実態調査結果より』から)
■最も多いのは「黙って我慢」

(1)差別を受けたときの対応は、「黙って我慢」の46.6%が最も多く、「相手に抗議」と「身近な人に相談」は20%台ですが、それ以外の対応は5%未満です。

(2)地域ブロック別には、関東に「身近な人に相談」が16.9%と少なく、「運動団体などに相談」が唯一10%を上回っています。また、「身近な人に相談」は中国にやや多く、近畿に少なく、「相手に抗議」は四国がやや少なくなっています。

(3)府県別には、「相手に抗議」は大分県、大阪市、「身近な人に相談」は鳥取・広島・香川県にやや多く、「運動団体などに相談」は埼玉・大分県は15%、「黙って我慢」は栃木・愛知県、神戸・北九州市は50%を超えています。地域別にかなりの差があるわけです。

(4)性別には、男性に「相手に抗議」、女性に「黙って我慢」がやや多くなっています。

(5)年齢別には、若年層に「身近な人に相談」が多く、「黙って我慢」が少なく、高齢者はその逆の傾向を示しています。「相手に抗議」は30歳未満と30歳代がやや多いともいえますが、この点について一貫した傾向はみられません。

(6)被差別の内容別には、「結婚」は「身近な人に相談」が多く、「黙って我慢」が少なくなっています。また、「就職」は「相手に抗議」が少ないことが注目されます。

(7)「黙って我慢」の多さが物語っているように、多くの差別事件が明るみにでていないことと、法務局や市町村などへの相談が示しているように、「法的解決」が少ないことが注目されます。

図12-6 人権侵害時の対応

表12-5 地域・年齢・内容別 人権侵害時の対応

 
相手

抗議
身近
人に
相談
有力
者に
相談
運動団
体など
に相談
法務局
など法
的解決
黙って
我慢
その他
地域ブロック 関東
21.4
16.9
2.7
10.6
4.2
48.8
11.5
中部
20.5
24.1
3.9
3.8
5.1
47.6
11.8
近畿
21.3
19.5
2.1
3.3
3.4
46.6
15.1
中国
19.3
28.2
3.1
5.2
5.7
43.7
11.3
四国
17.8
25.8
4.4
4.2
5.0
46.7
10.4
九州
19.6
22.3
3.7
5.4
4.8
48.0
11.2
府県 鳥取
18.1
35.2
1.8
1.5
1.6
42.6
8.9
広島
22.9
27.3
4.0
8.3
8.6
40.5
11.8
香川
18.6
27.5
4.3
3.6
5.8
45.7
10.6
茨城
20.8
13.9
3.5
8.7
6.4
39.3
17.9
大分
29.2
25.0
4.6
22.7
7.4
35.6
11.1
北九州市
21.2
21.7
3.5
1.0
1.9
50.4
9.5
奈良
20.1
19.2
2.5
2.2
2.4
46.2
15.0
群馬
18.5
15.5
3.0
4.7
3.3
49.8
15.2
大阪市
27.5
19.0
0.9
3.2
1.3
43.3
16.2
神戸市
16.8
12.3
0.3
1.0
1.0
54.4
15.5
性別
22.9
21.5
3.4
5.7
5.2
44.7
12.8
16.7
23.5
2.6
3.0
3.5
49.0
12.7
年齢別 30歳未満
23.4
33.5
1.9
4.1
3.1
34.7
13.9
30歳代
22.0
32.2
2.6
3.8
2.7
39.1
14.2
40歳代
19.9
23.6
3.1
5.1
4.0
45.0
15.3
50歳代
19.5
21.0
2.8
4.7
4.7
48.3
12.0
60歳代
20.4
17.1
3.5
4.9
5.4
50.0
11.0
70歳以上
17.8
17.0
3.7
3.4
4.8
53.8
10.7
内容 結婚
19.5
33.3
4.3
3.7
3.7
38.7
15.3
就職
13.6
21.6
4.0
4.0
3.8
54.7
10.4
学校生活
22.2
20.4
1.8
2.6
2.0
50.0
10.9
職場
23.0
19.9
3.1
5.6
4.3
50.7
8.7
日常生活
20.2
18.7
2.5
6.4
6.2
49.9
10.5

(部落解放研究所編『図説・今日の部落差別(第3版) 各地の実態調査結果より』より)