■大きい大学進学率の格差
(1)図8-11にみるように、大学進学率では高校進学率と比較すると一貫して大きな格差がみられます。文部省の調査をはじめ、どの府県でも部落生徒の大学進学率の水準は全体の2分の1から3分の2の水準にとどまっており、先にみた学歴構成上の格差を形成する要因となっています。
(2)大学進学率の推移においても、全体の進学機会の拡大・縮小にあわせて部落生徒の進学率水準が動く傾向がみられます。1975年から90年頃にかけての進学機会の縮小期には部落生徒の進学率も低下し、1990年以降の18歳人口の減少にともなう進学機会拡大期には部落生徒の進学率も伸びています。現在のところ、全体の進学機会構造を越えて部落生徒の進学率が伸びる傾向は確認できません。
(3)高等教育進学率は全体として今後急激に伸びていくことが予想されます。18歳人口は92年の205万人をピークに下降の一途をたどり、2000年には151万人、2010年には120万人にまで減少することが予想されています。高等教育機関の定員は多少の変動はあるものの基本的には変化しないと予想されるので、2000年には高等教育進学率が50%を超え、2010年には70%近くなることが予想されます。
(4)こうした状況のなかで、大学教育はかつて高校がたどったのと同じように、エリート主義的なものから大衆的なものへと変化し、専門的教育の舞台は次第に大学院に移行することになります。そのとき、あらためて戦後の学歴構造の変化のなかで被差別部落がおかれてきた位置、同和教育実践の成果が検証されることになるでしょう。
(部落解放研究所編『図説・今日の部落差別(第3版) 各地の実態調査結果より』より)
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