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(部落解放研究所編『図説・今日の部落差別(第3版)各地の実態調査結果より』から)
■従業員規模の零細性

(1)図6-6は勤め先の従業員規模(本社、支社、営業所をも含めた従業員数)別に被雇用者の構成比を示したものです。これによると、1〜4人規模の構成比に差はないものの、5〜9人、10〜29人、30〜99人規模の構成比がそれぞれ全体よりも大きく、100〜299人、300人以上規模のそれは、全体を大きく下回っています。また、官公庁の構成比は全体よりも3.3ポイント大きくなっています

(2)このように、部落の被雇用者には従業員300人以上規模の企業に雇われる者が少ないのですが、部落を対象とした調査は調査時点で部落内(同和地区内)に居住する部落世帯を対象としているので、部落外に居住して、大企業に雇用されている部落出身者は含まれていません。一方、比較対象とした官庁統計の数字は、日本全国の従業員規模別の被雇用者ですから、300人以上規模の構成比の格差は、実際には図6-6にみられるよりも小さくなると思われます。

(3)また、官公庁の構成比が13.4%となっていますが、これは被雇用者についての産業構成の公務の構成比14.0%(男女計)よりも小さくなっています(表6-2は就業者についての数字)。官公庁にはすべての公務員が含まれるので、公務員の一部が分類される公務よりも少なくなることはありえません。調査員や回答者に、分類の基準が十分に徹底されていなかったためと思われます。

(4)地域別に従業員規模別就業者構成をみると(表6-6)、県によって差はあるものの、100〜299人、300人以上規模の構成比が部落で低いことに関しては共通しています。

図6-6 従業員規模別 被雇用者構成比(全国、男女計)


[注]全体は「就業構造基本調査」1992年

表6-6 従業員規模別 就業者構成比(府県別)

総数(人)
構成比率(%)
上:部落
下:全体
1-4人
5-9人
10-29人
30-99人
100-299人
300人以上
官公庁
不明
栃木
962
1,071千
29.3
27.5
13.3
9.4
16.5.
11.8
14.3
12.1
7.8
9.6
14.4
22.2
2.2
7.2
2.2
-
愛知
804
3,792千
24.5
22.5
10.8
9.8
19.4
11.8
15.2
12.2
7.6
9.7
14.8
27.4
6.2
6.4
2.4
-
滋賀
3,387
652千
23.1
21.5
14.3
8.1
17.3
11.3
14.7
11.3
9.1
11.0
14.9
27.7
5.8
9.0
0.8
-
奈良
4,897
686千
28.4
24.6
13.7
8.6
16.1
10.6
10.3
10.8
5.6
8.9
8.1
25.7
13.9
10.2
4.0
-
岡山
3,725
1,024千
22.9
25.9
14.5
8.5
21.3
12.5
15.5
13.3
7.9
10.4
9.3
21.3
5.8
8.2
2.9
-
徳島
2,226
424千
20.0
33.0
15.8
9.4
22.3
13.0
14.3
12.3
7.3
7.5
6.4
13.4
8.6
11.1
5.2
-
高知
3,130
422千
25.3
33.9
12.7
9.7
20.1
14.7
14.7
13.0
6.1
8.1
4.2
9.0
11.2
11.4
3.2
-
熊本
1,895
920千
32.2
31.0
10.9
9.2
18.5
13.2
14.9
12.5
8.6
9.1
9.5
15.0
3.2
10.0
2.1
-
[注]全体は「就業構造基本調査」1992年   (上段:部落、下段:全体)

(部落解放研究所編『図説・今日の部落差別(第3版) 各地の実態調査結果より』より)