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2005.08.04
意見・主張
  
解放新聞 第2229号(2005年8月1日) より
スリランカ 津波被害の救援・復旧活動は今
国境を越えた連帯 さらに継続した長期支援が必要

 スリランカでインド洋大津波復興支援活動にとりくむニマルカ・フェルナンドIMADR理事長が7月10日に来日し、長野、滋賀、大阪、兵庫の解放同盟各府県連などをまわった。
みなさんの連帯が力に

 IMADRがインドやスリランカで支援活動をやってくることができたのも、みなさんの連帯があったからだ。私も、インドのファティマ理事も、連帯はとても力になっている。

 スリランカでは、犠牲者4万人のうち3万人が女性、5-6千人が子どもだ。津波によって、船は2万隻破壊され、漁民は生活手段を奪われた。

 東部など、反政府組織のLTTE(タミル・イーラム解放のトラ)の支配地域ではLTTEと協力しながら支援をおこなう。東部は、マイノリティのコミュニティ(集落)が集中している。東部のトリンコマリでは、多数派民族シンハラ(おもに仏教)、少数派民族タミル(おもにヒンドゥー教)、ムスリム(イスラム教)の民族が混住し、戦禍の激しいところなので、復興にも時間がかかっている。また、バティカロアやアンパラには、救援が必要な人びとが集中している。IMADRが活動しているところだけでも、避難所には、まだまだ234世帯が生活している。これらの家族は、政府が立ち入り禁止を宣言した海岸100メートル地帯に住んでいるので、家に帰ることができない。

 また、もともと貧困で苦しんでいる人がたくさんいるので、被災した人だけに物資を提供するということは困難だ。

スローガン掲げ

 1-2月は、食料や衣料などを支給し、緊急の対応をした。「WE DO CARE(私たちはあなたたちのことを気にかけています)」をテーマに支援活動をおこなってきた。津波直後、この言葉は重要な意味があった。しかし、いまもまだこの言葉に意味がある場所がある。そのような場所には、いまも食料や衣料、子どもたちにはおもちゃを支給している。勇気づけてあげることができていると思う。「現地の人が、いま必要なこと」に応えることを大切にしたい。

 3月8日、女性国際デーの日に、女性の生計手段を立て直すための会議をひらき、生計手段を提供するようにした。たとえば、どんな仕事をしていたのかをたずね、それを再開できるための道具を提供する支援。つまり、お金ではなく自立のための支援をする。南部のゴールでは、ロープを結うための機械を提供した。こういうことにとりくんでいるのは、IMADRが最初のNGOだと思っている。

 またこの日には、被災しているところへ出かけていき、みんなでチキンカレーを作って食べた。子どもたちにはアイスなどお菓子ももっていった。被災直後、冷えた食事ばかりだったので、このようなとりくみをした。

 4月以降のスローガンとして、「We have not forgotten you(私たちはあなたたちのことを忘れていません)」を掲げ、<1>生計手段の再建<2>保健衛生<3>子どもの教育<4>家屋の修復、などの柱を立てて活動した。

 5月から、本格的に生計手段再建プロジェクトを実行している。生計手段回復へ向けてどのようなものが必要か調べるため、パートナー団体に手伝ってもらって、現地にいって何が必要かなど一人ひとりの女性に話を聞き、いま、約2000の申請書が届いている。

 このプロジェクトは、未来につながるような生活の手段を身につけてもらおうと始めた。女性のなかでも、夫を亡くした女性など、とりわけ立場の弱い女性のためのプロジェクトだ。また、男性には自転車や漁具、子どもにはわずかだが奨学金や制服を支給する予定だ。

生計手段再建の支援が

 世界の人びとにも「まだ支援が必要だ」と知ってもらうことを訴える。たんにモノやお金を提供するということではなく、生計手段再建のための支援が重要。

 8月は民衆法廷をおこなう予定だ。どのように被災したか、それにたいして政府が何をしたのかなど、人びとに証言してもらう。

 もう少し資金を作ることができたら、夫を亡くした女性たちの家を建てることや、コミュニティセンター建設に使いたい。

 津波で被災した女性たちが直面する問題として、<1>暴力やセクハラ、DV<2>健康問題、トイレなどの衛生面での問題<3>高齢女性の孤独感や不安の問題などがある。被災した場所7か所に、女性のためのセンターを作り、書類を書いたりなどの代行サービスをした。政府が何もやってないことがわかった。

 IMADRは緊急救援だけをおこなう団体ではないので、政府にたいして提言活動もおこなってきた。政府は、津波が起きてから6か月が経過したが、人びとにたいしては2回しか生活補助金を支給していない。各国から受けた支援金は、人びとの生活復興には使われていない。そのことを政府にたいして抗議している。たとえば、メディアに向けて、政府が何もやってないことやIMADRの活動内容と現地の状況などを発表した。

 外国から大規模な資金をもってやってくる国際NGOも、ときには問題を引き起こしている。大規模な「復興事業」ばかり手がけて、草の根の人びととの関わりをもたずにお金ばかりが使われている。これでは被災した人びとの生活やコミュニティは再建できないと思う。

 IMADRとしては、コミュニティとともにありつづけ、コミュニティありきの活動、コミュニティ自身が自立し、組織することを支援する活動をする。被災者や草の根グループが主体となる運動、差別や人種主義、ジェンダー不平等のない共同体再建へ向けて努力していく。

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