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2006.01.31
意見・主張
  
参議院議員 松岡とおる 国会議事録
人権を日本の政治の中にしっかりと根づかせたい。
松岡とおるは、そんな思いで国会内外をかけめぐっています。
2004年7月の参議院初登院から、「人権立国ニッポン」をめざす松岡議員の新たな闘いがはじまりました。
人が人として尊ばれ、人権が守られる社会をつくっていく「人間を大事にする政治」をめざして活動しています。
「人身取引」対策関連法案についての質疑

2005年4月21日 参議院憲法調査会

○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。

 先週に引き続いて、最後の機会でございますので、質問をさせていただきますが、ずっと参考人の意見も聞かせていただきまして、いろいろこれまでのやり取りの中で、私自身としても、今回の法改正、その意義というのは非常に大きなものがあるというふうに考えています。一定の評価をしたいというふうに考えるんです。

 人身売買が今まで犯罪として規定されてこなかったということ自身がやっぱりちょっと遅かったなというような気はしますが、いずれにしても、今回、踏み込もうということであります。それは、国際的な期待にもこたえるということにもなるんですが、どうもこの間の議論をしてきましたら、その大事な、予防と、そして処罰と、そして保護という、この三つの大きなポイントの効果が本当にこれで上げられるのかどうかというちょっと疑問があります。そういう視点で幾つか補足という意味で質問をさしていただきたいと思うんですが。

 まずは、例えば処罰のところで、人身買受け罪あるいは売渡し罪、新設されました。本当にこれ新設しただけで、問題は、本当に撲滅にまで、効果を上げるまでにいくのかどうかというのがこれからの大事な課題なんですが、今までの経験ということからしますと、特にこの人身売買というのは、一個人が犯罪を犯すということではなくて、むしろ組織的な、しかも国際的なブローカーというものがおる、それ自身は個人ではなくて組織というようなことが実態が見えるんですが、その数字が明らかでないんですね。日本は受入れ国だというふうに言われて、指摘されて、一体日本のブローカーの数、あるいは特にその組織ですね、というものがどういう実態になっているのか、これをつかんでいるのかどうか、もしつかんでいるとすればその数字をちょっと聞かしていただきたいと思うんですが。特に、その中で、組織を処罰する、摘発するまでいった事例があるのかどうかですね、それもちょっと一遍聞かしていただきたいと思います。


○政府参考人(伊藤哲朗君) 人身売買組織の実態についてのお尋ねでございますけれども、その実態というのは、現状、基本的には地下に潜っているといいましょうか、アンダーグラウンドの世界でございますので、私どもといたしましては、事件検挙を通じてこれを解明していくと、実態解明をするということになるわけでございます。

 いろんな意味で昨年も人身事犯の取締りを行ったわけでございますけれども、その中で人身取引事犯の被害者の保護も行いましたし、一方ではブローカーあるいは悪質な雇用者等の検挙も行っておりまして、そうした中でブローカーの検挙というものも相当数行ったという状況でございます。


○松岡徹君 私たちは、人身売買が非常に重大な人権侵害であり犯罪であるということは分かっておるんですが、その実態がなかなか分からない。しかし一方、日本は受入れ国だと言われてきている。そして、そのことが国際的にも批判されている。これに責任ある答えを出していこうということが今回の法改正の大きな責務だと思うんですね。

 そのときに、日本の受入れ国となっているブローカーの組織が、一般的に言うならば、それが暴力団の資金源になっているとか、そういうようなこと言われます。ところが、この実態が全くはっきりしないんですね。それが摘発と、要するに非常に難しいんです、その実態をつかむというのが難しいという事案なんですね、これは。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、そういう意味では、一つの、摘発するという、例えばストリップ小屋とかあるいはそういう性風俗のところを摘発する、捜査するということもあるかもしれませんが、一番大事なのは被害者の保護と、そして被害者の証言によってその実態が明らかになっていくというのは極めて重要なウエートを占めていると思うんですね。で、大臣にお聞きしたい。それは、私はそう思うんですけれども、大臣、是非とも被害者からの証言というものが非常に大事になってきます。その被害者が安心して証言できるような環境をどういうふうにつくろうとしているのかというものを、改めて大臣の考え方をお聞かせ願いたいんですけど。


○政府参考人(三浦正晴君) 私の方からまずお答えさせていただきたいと思いますが、被害者の方が安心して関係機関に出頭していただくことがまず肝要であるという、委員御指摘のとおりだと思っております。そのためには、もちろん事前に人身取引の被害者の方は被害者として保護されるのであるということを広く周知するということが必要であろうかと思います。

 また、実際にいろんな関係機関に出頭してきた場合には、入管の立場から申し上げますならば、まず対応する担当官については、ほとんどの方が被害者は女性だというふうに思われますので、女性の被害者の方には女性の担当官が対応するというようなこと、それから、言語の問題が先ほどもちょっと出ましたですが、日本語に通じていないような被害者の方につきましては、その方の母国語の通訳を手当てをして詳細な話をその被害者の方から聞いていくという、こういったことを心掛けているところでございまして、今後ともそういう形で対応してまいりたいというふうに思っております。


○松岡徹君 大臣、なぜそれを言うのかというのは、今入管の局長が答えていただきましたけれども、要するに被害者の証言というのは極めて、組織やブローカーを摘発していく、すなわち今回の法改正の効果を上げていく、そして実態を把握するためにも大事なポイントであるというふうに思うんですね。そういう意味では、いろいろ努力をしていかなあかんし、これからの課題がたくさんあると言われています。今大臣がどのような問題意識を持たれているのかということが聞きたかったんですね。当然、言うまでもなく同じ問題意識だと思いますが。

 そこで、被害者の人たちが、まず入管の局長答えられました、あるいは民間の、参考人で民間のシェルターの方が、民間のところに駆け込んで、そして保護していると。で、彼女は被害者だと、その被害者の申請をするのに一か月以上掛かるという証言も先日の参考人のところでもありました。そういうことからすると、まず被害者が安心して証言できるような環境をどうつくるか、そのときには入管はそうおっしゃいました。それ以外にもたくさんあると思うんですね。

 私は一番大事なのは、その被害者を、私たちの国際的な批判の一つに、日本は被害者を犯罪者扱いしているという指摘ありましたですね。すなわち、それはどんな犯罪かといえば、不法入国、不法就労、不法滞在という対象者として対応してきたんですね。そういう意味では、今回は、今回の法改正で効果を上げていくためにも、特別在留許可の仕方、認定の仕方ですね、これを直ちに出していかなあかんと。安心して被害者が、先ほど言った医療の関係にも対応できる、あるいは証言にもこたえられていくというようなためにも、被害者の被害としての認定と、そして在留許可をどういうように下ろしていくのか、これは是非とも、私はそう思うんですが。

 そこで、被害者であると認定する場合、だれがどのように、どのような方法で認定するのか、それをちょっと聞かしていただきたいと思います。


○国務大臣(南野知惠子君) そのような場合、また人身取引の被害者の認定をいたします場合には、御本人の申出、先生言われたように、それは申し出られるような環境を整えてあげるということが大切ですが、そのように申し出やすい環境をつくり、その申出によりまして入国管理局が、これが独自に調査した結果はもとより、警察等の捜査機関、NGO、出身国の在日公館からも情報の提供を得るなどして、判明した事実を総合的に考慮して判断するというのが建前でございます。

○松岡徹君 建前は分かるんですが、今まで被害者が直接保護されて、言わば入管で発覚するいうのが多いですね。もう一つは、自分の自国の大使館に駆け込んで、あるいは民間のそういう、参考人来ていただいたサーラーの家とか、そういうところに駆け込んで発覚するというのが多いんです。

 今回の改正で、保護するという取組のところで、駆け込み寺としての一つに警察とかということをおっしゃいました。こんなパンフも用意しようということも言われていますけれども。そういう意味では、その認定の仕方なんですね、入管で最後にするかもしれませんが、やっぱりその窓口、駆け込みするところとどうやって連携していくのかというのが非常に大事なんですね。これを迅速にやっぱり対応すべきことだというふうに考えるんですが、それに対応するような対応策というのは考えていられます、今回の法改正に当たって。


○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、人身取引の被害者の方が発見されるといいますか、認知される状況というのはいろんなケースがあるかと思われます。刑事事件として捜査が開始されるケースもございましょうし、あと民間のシェルターのようなところに御本人が駆け込むケースもございましょうし、入管にお見えになることもある。そうしますと、それぞれの機関がそれぞれの担当をしてはおりますけれども、相互に情報を交換するということが非常に大事になってくるんだろうと思われます。

 入管で仮に被害者と認定いたしましても、当然その被害者の陰には加害者がおるわけでございますので、捜査の必要もございましょうし、そういったことで我々としては、関係省庁の連絡会議もございますし、それ以外にも、警察と厚生労働省とも個別的にも緊密な連携を取って対処をしていっておりますし、今後もその方針で対処してまいりたいと思っております。


○松岡徹君 やっぱり今までの現状の域を出ていないんですね。そういう意味では私は、今回本当に被害者が被害者として認定されて保護されるのだろうか、そういう効果を上げられるのだろうか、そのことに非常に不十分さを感じます。そのことが不十分であればあるほど、摘発、処罰というところの効果がやっぱり薄くなっていくということなんですね。

 そういう意味で、私は大臣に聞きたいのは、被害者と認定されるためのそういういろんな方法、民間との連携をしていこうということをおっしゃっていました。だから、民間とのあるいはNGOとの連携というのは非常に大事です。ところが、その民間との連携の仕方というのは非常にあいまいですから、今回の施策の中にも、やっぱりしっかりとそのことを踏まえると具体的な施策を、定義付けを、民間との定義付けをしていくべきだと思うんですね。今後の課題になろうかと思いますが、是非ともそれは形として作り上げていただくように要請をしておきたいと思うんです。

 それで、被害者と認定された場合に在留許可を今回は許可しようということになります。この許否の判断は残念ながらまだはっきり明快ではないんですね。すなわち、大臣の裁量権の範囲内でこれが決められるんです。これは非常にあいまいなんです。しかも、全国あちこち被害者が出てくる可能性があります。大臣がその在留許可の許可を下ろす場合の許否の判断基準というのが裁量権の枠内ですから、具体的じゃありません。私は、このあいまいな定義といいますか、許否の、裁量という内容をこの際はっきりすべきではないかというふうに思うんですけれども、当事者の大臣、どない思われます。


○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引は本当に重大な人権侵害であるというところに立脚いたし、早急な取組が必要であるという認識の下に政府を挙げて対策に取り組んでいるところであります。

 今回の法改正は、その一環といたしまして、人身取引の被害者は保護の対象であることを明確にするものでございます。したがいまして、被害者として保護することを念頭に、原則として在留特別許可をすることになるものというふうに思います。


○松岡徹君 被害者と認定されれば、もう直ちにイコール特別在留許可が下りるというふうに解釈すればいいんですか。

○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。

 大臣の方からも原則としてというお答えがございましたけれども、今回の法改正の趣旨を踏まえますれば、人身取引の被害者という認定をされた場合には、よほど極端な例外がなければ在留特別許可を付与するというのが法改正の趣旨でございます。

 例えば、余り想定できませんが、被害者の立場にあると同時に、その人身取引問題とはおよそ関係なく重大な殺人事件なり強盗事件などを起こしておったというようなケースですとか、また入管法の退去強制事由の中にございますが、日本の国益を損ねるような、日本の政府を武力で転覆する目的を持っているというようなケースが規定されておるわけですが、そういった例外的なケースはこれまた別な判断があろうかと思いますが、そうでない通常の場合には在留特別許可が付与されるというふうに考えております。


○松岡徹君 余りにも極端な例を言われると、まあ人身売買された人がその国を転覆させるような犯罪に加担するようなことは当然考えられませんけれども、要するに実態とずれているんですね。考えられる可能性といったら何ぼでも限りない無限ですけれども、やっぱり現実をしっかり踏まえて実態に対応していかなくてはならないと言っているんですね。私はそういう意味では、今回の法改正で人身売買が犯罪としてしっかりと規定されて、しかもそれを撲滅目指してやろうというときに、いかに犯罪被害者の、この被害者の救済といいますか、保護というものが大事であるかというのは、効果を上げるためにも大事だという意味で言っているんですね。ですから、今入管局長がおっしゃったように、それは、転覆させるような犯罪とか考えたら可能性はあるかもしれませんけれども、そんな問題ではないんですね。

 ですから、やっぱり在留許可を、やっぱり被害者と認定された場合は無条件にやっぱりやっていくことが大事だと思うんです。それはなぜかといえば、次のことにもなりますが、犯罪ブローカーとかあるいは組織、そういったものを摘発していくためにも、あるいは先ほどのやり取りの中にもありましたように、この人身売買の我が国での全容を解明していくためにも極めて大事な課題でありますから、被害者の方がしっかり安心してその証言ができるということが大事だと思います。

 私は同時に、もう一つは、被害者の人の保護の中に、権利あるいは人権の回復という大事な視点があります。行動計画の中にも人身売買は重大な人権侵害であるというふうに規定されています。彼女らをあるいは彼らを保護するというのは正に人権を回復さしていくという取組なんですね。医療やあるいは様々な保護、救援施策は正にその一つだと思うんです。その中で、被害者の方々が証言と同時に、その犯罪ブローカーや組織を証言の中で正しくしていくという環境をつくって、告発していくということまで当然権利としてはあると思うんです。あるいは認めていくべきだと思うんですね。

 被害者が裁判に訴えていくといった場合、どのような対応、支援策というものを考えておられるのか。


○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引の被害者が加害者に対する損害賠償の請求等もこの中身に入っているのかなと思っておりますが、我が国に在留を希望し、その必要が認められる場合には、在留特別許可や在留資格の変更許可等により必要と認められる期間の在留が可能となるのが先ほどの話でございます。

 そういう意味で、自分が受けたい裁判、これがちゃんと的確に情報として与えられるのかというようなお尋ねであったと思いますが、昨年成立いたしました総合法律支援法に基づきまして、これは平成十八年度に日本司法支援センターが設立されるということになりますが、この支援センターにおきまして被害者支援団体などと連携協力しながら、被害者の方々に有益な情報の提供をしてまいりたいというふうに思っております。また、支援センターでは、各地の弁護士会や日弁連の方々と協力しながら、犯罪被害者問題に精通した弁護士の方々を紹介する体制、そういうものを整備することが予定されております。

 人身取引の被害者に対しても、支援センターのこのような業務を通じまして、損害賠償請求とか訴えたい問題という問題を、その風通しを良くするための情報提供ということはしていかなければならないと思っております。


○松岡徹君 被害者の方の人権の回復、これは私は非常に大事な視点だと思うんですね。それを抜いてはならない。

 そのことからすると、実態に見合うということですが、人権の回復の手段の一つとして、自らが被った被害、例えば被害者の方は日本に人身売買で連れてこられたときに、日本のブローカーに身柄が渡ったときにはもう既に三百万とか五百万の借金を知らぬところで負わされているんですね。自ら別にもらったわけでもないのにそういうことを負わされている。すなわち、そういった一つ一つの被害の状況、それに対する訴訟とかあるいは損害賠償とか、そういったもののことを保障していくという、そういう環境を保障するということは大事な被害者保護、支援のポイントだと思うんですね。そういう意味では、今大臣おっしゃったように、司法の支援センターを中心にとおっしゃっていますけれども、例えば訴訟費用とか、あるいはそういった道がありますよということを被害者に丁寧に伝えていくということも大事なんですね。

 被害者の方自身は、駆け込んだときには、警察に駆け込む例というのは非常にもうほとんどないというぐらいです。そういう意味では、なかなか日本の警察やあるいは司法が十分分かっていないし、信頼もされていないという状況であります。丁寧なそういう手続といいますか、そういう支援の方法を考えていかなくてはならないと思うんですけれども、その支援センターでそういう相談に応じるということだけでは十分なフォローにはならないんではないかなというふうに思うんですね。日弁連とかそういったところとしっかりと連携をしてやっていく必要があると思うんですけれども、支援センターだけではまだまだ不十分だと思います。

 先ほど大臣がおっしゃった、民間との連携とか日弁連とかおっしゃっていましたけれども、その場合、当然訴訟費用とかありますが、そういったことの支援も考えておられるのかどうか、ちょっとお聞かせいただけます。


○政府参考人(倉吉敬君) 申し訳ございません。

 総合支援法の中に、支援センターで民事法律扶助事業もやると、こういうことになっておりまして、これはもちろん資力がないという要件が必要になるわけですけれども、それを審査した上で訴訟を追行していく資力がないということであれば、その訴訟費用も立替払をするという前提で、これは現在行われております民事法律扶助と全く同じスキームでございますが、それを日本司法支援センターが引き継いで行うと、こういうことになっております。


○松岡徹君 立替えというのは、非常に被害者の状況からすれば非常に難しいんですね。ですから、やっぱり踏み込んだ支援策というものを考えていかなくてはならないと思うんです。

 先ほどのやり取りの中でもありましたけれども、彼女らが婦人相談所に特別在留で保護されて、その中で例えば訴訟の手続をしていくといった場合、具体的な現実的な姿というのが見えてこないんですね。本当にそれができるのか、あるいは婦人相談所のところにそんな機能があるのかどうか。フォローできる、介添えできるようなことができるのかどうか。そういうことからしてもやっぱり、全体としては今回の法改正の趣旨は理解できるけれども、中身は本当に実が上がるのかという気がします。

 今年の予算を見ましても、データベース化するための予算は六千六百万の予算を組んでいて、厚生労働の婦人相談所のところでは、民間への支援策でわずか一千万なんですね。そういう意味では、まだまだ実態が分かっていないからかもしれませんが、今回のやり取りを考えれば、そのことが少なくとも明らかになってきたんだから、しっかりとそれを踏まえた体制を是非とも取っていただきたいということであります。

 最後になりますけれども、先ほどもありました、問題は、趣旨は理解できるが効果はこのままでは上がらないんではないか。それは正に、無責任とまでは言いませんが、非常にあいまいな推進体制といいますか、そういう状況にあると思うんです。

 私は、先週のやり取りでもさしていただきました。こういうことを考えますと、総合的な、それぞれの省庁の得意分野だけで、私はこれします、私のところはこれしますということではなくて、そういう省庁の都合で対策が決まるんではなくて、この人身取引の被害の実態、被害者の実態というこの実態に即したところからどういうふうな施策を打っていくのかということの発想でいかなくてはならないと思うんです。そういうことからすると、責任ある所管省庁といいますか、窓口といいますか、体制というものが要ると思うんです。

 私も、事前のレクチャーのところで聞かしていただきました。内閣官房がその責任窓口になるのかということからしても、非常にあいまいなんです。しかも、この問題は、この人身売買は重大な人権侵害であるといいながら、この連絡会議の中には男女共同参画室がなぜ入っていないのか、あるいは法務省の人権擁護局がなぜ入っていない、メンバーに入っていないのか、人権という視点が軽視されて、それぞれの所管省庁の都合だけで対策が練られているんではないか。決してそうではないと思いますが、問題は、なぜそうなるのか、そういうふうに受け止められるのかといえば、責任ある省庁がはっきりしていないからだというふうに考えるんです。

 もう一度、やっぱりその責任ある窓口、人身取引の被害あるいは人身取引のこれからの課題について、ここへ行けばすべてが分かるというような組織というものをつくるべきだというふうに思いますし、同時に、そのことは総合的な施策ということから考えると、総合的な法制度というものが必要だと思いますけれども、そのことを大臣にお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。


○国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生のおっしゃることを十分理解させていただき、法務省といたしましても、関係省庁連絡会議を中心としてこれまで以上に関係省庁と緊密に連絡を取りながら、この法案ができました暁にどう運用していくかということには誠心誠意取り組んでいきたいと思っております。

参議院議員 松岡とおる 国会議事録