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2006.01.31
意見・主張
  
参議院議員 松岡とおる 国会議事録
人権を日本の政治の中にしっかりと根づかせたい。
松岡とおるは、そんな思いで国会内外をかけめぐっています。
2004年7月の参議院初登院から、「人権立国ニッポン」をめざす松岡議員の新たな闘いがはじまりました。
人が人として尊ばれ、人権が守られる社会をつくっていく「人間を大事にする政治」をめざして活動しています。
郵政民営化の政府広報資料についての一般質疑

2005年7月21日 参議院法務委員会

○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。

 いきなり後ろが寂しくなりましたけれども、大臣としっかりと議論をしたいというふうに思っておりまして、私は今から大臣に率直にお聞きを申し上げたいと思うのは、今も参議院で郵政民営化の特別委員会が開催をされております。先月まで衆議院で議論されました。その中で問題になりました、いわゆる政府広報の問題ですね。それの質疑が何回かありました。我が党の議員の方からも大臣に対して質問がありました。それで、その大臣の答弁について、率直にまだ語り切れていないんではないか、大臣が、というふうに思っておりまして、その点について今日はお伺いをしたいというふうに思うんです。

 そこで、我が党の議員が、まずは六月の二十九日に、郵政民営化の特別委員会で山花郁夫議員がまずこの問題を取り上げました。

 政府広報で出されていますこの郵政民営化法案に対する広報資料でありますが、この資料は実はターゲット戦略というふうに書かれていまして、IQ軸の縦軸がありまして、ハイとローというふうに分けて、そういう戦略でされていたと。この広報は今年の二月に実施されたんですが、山花議員は、知的レベルによって区別してこういう広報をするというのは、それを見ただけでは非常に不愉快だと、人権問題ではないかという質問をされました。そこで、大臣は、答弁について、一般論として、合理的な理由のない区別というのが差別であろうかとか、あるいは人権侵害の問題については、合理的な理由のある区別は人権侵害には当たらないとかおっしゃっています。

 これ、非常に混乱しておるんですが、質問について、また質問の内容も具体的なところにまで行っていないと思うんですが、まずは、一番大事なのは、この郵政民営化の政府広報についてのターゲット戦略に基づくこの方式ですね、これを政府は採用して実施したわけでありますから、これ自身が人権問題ではないかという指摘なんですね。

 この広報について、大臣はその後検討されて問題だというふうに感じているのかどうか、その辺のまず御認識だけお伺いしたいと思うんです。


○国務大臣(南野知惠子君) 誤解があるといけませんので御答弁いたしますが、行政の遂行に当たりまして、人権に配慮した取扱いがなされるべきことは当然のことでございます。行政といたしまして御指摘の資料の記載を容認して、これを基礎として不適切な行政を行うべきではないと考えております。

 ただ、これが人権侵害ではないかと問われますと、個別の事案については調査をしないで人権侵害に当たるかどうかを確定的に申し上げることは適当ではないというふうに思いますけれども、御指摘の資料を拝見する限りでは、広報の対象とされた範囲が漠然としておりますし、また、広報活動を行うこと自体、必ずしもその対象に不利益をもたらすものではないように思われますので、直ちにこれをもって人権侵害に当たるとは言えないと思っております。


○松岡徹君 そこで、今おっしゃった、これが不利益に当たるかどうか、そのことが明らかでない段階ではこれは差別とは言えないんではないか、人権侵害には当たらないんではないかというふうにおっしゃっているんですね。

 そこで、私は今聞いたのは、このターゲット戦略、これを採用した、これが人権問題に当たるんではないかという指摘に対して検討されたのかどうかなんですね。これは皆さん方も御存じだと思うんですが、このターゲット戦略の現状認識のところで、郵政民営化に関しての必要性認識は確立しつつあると。ただし、プライオリティー認識は低い。また、その民営化に対しての温度差は、その社会的立場、ターゲットクラスター、集団により様々だというふうに言っているんですね。

 そして、A層、B層というふうに分けて、縦軸にIQ、そして、ハイのところに、財界勝ち組企業、大学教授、マスメディア、都市部ホワイトカラーと書いてあるんですね。で、B、すなわちB層、ローの方ですね、IQの軸のローの方。これは小泉内閣支持基盤、民営化の大義と構造改革上の重要性、認識レベルを高めることが必要条件だという前提で、主婦層アンド子供を中心にシルバー層、あるいは具体的なことは分からないが小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層なんですね。

 私、これをするときに、IQ軸となっているんですが、そのIQ軸の括弧にEQとITQというのがあるんですね、EQとITQ。単なる、私自身も、IQという指数を調べるということについては、これ自体は別に差別ということではないし、合理的な区別であって差別ではない。ただ問題は、それがどういうふうに使われるかによって、それが、差別が起きるかどうかということなんですね。

 このIQの横の括弧のところにEQとITQというのがあるんですね。これはどういう意味と認識されていますか。

 ちょっと時間があれなんで申し上げますけれども、IQ、インテリジェンスクオリティー、知的指数なんです、知能指数ですね。EQというのは、いろんなのがありますが、情動の知能指数、すなわち喜怒哀楽とか心ですね。ITQというのは情報技術指数。これをどういうふうに理解をするのかというのもありますが、一般的な解釈というのはそういうふうになっています。そういう意味では、このEQというのは経済感覚指数を示すんではないかというふうに言われています。ITQというのは、情報指数といいますか、情報技術指数というふうに言われています。

 すなわち、これから見ても、IQというものと同時に情報技術指数というものが、情報技術がどんどん進展していますけれども、問題は、その情報技術が進展していく中で取り残されていくという層が必ず生まれてくるんですね。一遍には行きません。しかし、そのままにほっていけば必ずそこに格差が生まれてきます、EQもそうでありますけれども。

 私は、全体を通して、このIQの括弧の中にEQ、ITQと書いてある。そして、縦軸になって、先ほど言ったように、A層が先ほど言った層で、B層が主婦層だとか、特に女性の方とか、あるいはシルバー、高齢者層。これは、高齢者の方々は確かに情報技術指数としてはまだまだ遅れていると思うんですよ。ですから、この人達をB層というふうに位置付けてやるというのも問題だと思うんですが、私はその前の前提に、極めて政治的な取扱いだというふうに思うんですが。

 実は、横軸のところに、先ほどあったA層の横の左に構造改革抵抗守旧派と書いてあるんですね。B層の左の軸に、既に失業等の痛みにより、あるいは構造改革に恐怖を覚えている層。こういった層にはターゲット絞っていないんです、今回のこのターゲット戦略。これ、極めて、言うたら反対派の層にはもう今更広報しても無駄だろう、これから郵政民営化の支持を得られる層にターゲット絞ろう。これが、こんな政治的な広報の仕方を政府がしていいのかどうかという問題があるんですよ、税金を使ってね。

 私は、そのことは大臣には問いません。問いませんが、しかしこのターゲットの絞り方、あるいはこういったことを実施したということなんですね。結果的には主婦層あるいはシルバー層等についてはIQが低い、あるいは喜怒哀楽とか心の知能指数といいますか、そういったものが低いとか、あるいは情報技術指数、経済感覚指数というものが低いんだということを決め付けておるんですね。決め付けています。ここが問題なんです。

 本当にこのIQの低い層、あるいはEQ、ITQの低い層は主婦層なのか、シルバー層も本当に低いのか、これを、私はまず大臣の認識を聞きたいと思うんです。いかがですか。本当に低いと思いますか、主婦層、シルバー層、子供たち。


○国務大臣(南野知惠子君) 資料は、これは見せていただきましたけれども、私としてはそこまでは読み切れていないというふうに思います。

○松岡徹君 読み切れていないというのは分析をしていないといいますか、いうことだと思うんですけれども、そうですか、そういうことですか。この資料についてその後分析されていないということですか。

○国務大臣(南野知惠子君) 一応個別の案件でもございますし、私個人の感想ということを申し上げるレベルではないと思っております。

○松岡徹君 私は、大臣の個人の認識を今問うているんじゃないんです。ここは法務委員会です。事前に通告もしておりまして、大臣にしっかりと、大臣が言った言葉です。

 もう一度申しますと、経過を申しますと、山花議員が、先ほど言いました、大臣は極めて一般的に答えて混乱している。その後、六月三十日の委員会の冒頭に、山花議員の質問に対してこれは相当やり取りがあって、質疑が中断しているんですね、度々中断しています。そして、日を改めて大臣は、先日の山花議員の答弁に対して、冒頭再答弁しているんですね。二階委員長からの許しを得て言っています。

 そこに、一般的、一般論としましては、差別的取扱いについては合理的区別か否かで差別か否かを判断いたします。差別表現につきましては、その対象者が特定されている場合には人権侵害に当たる場合がありますが、特定されない場合には原則として人権侵害には当たらないと言い切っています。その後、もっとも、表現としては一般的な体裁を取っていても、対象者が事実上特定される場合には特定個人に対する人権侵害となり得る場合があります。さらに、このような厳格な意味での人権侵害に当たらないとしても、不当な差別的な取扱いを助長させるおそれが大きい場合にはこれが差別助長行為として許されないものと考えている、こういうふうに答えている。これが六月三十日の大臣の再答弁といいますかね、冒頭の。

 その七月四日の、次は、今度は原口議員が質問しています。今度は実はだれに質問しているかというと、官房長官に質問しています。官房長官はどう答えているかといえば、この企画書の中におきまして、国民の皆様あるいは各界各層の皆様をIQが高いとか低いとか、そういう表現を使っていること自体は極めて問題があり、私も不適切だと思っていると答えているんです。

 ところが、大臣は、この資料自身が、どういうふうに答えているか。結局最後の、実は七月十二日に衆議院の法務委員会で大臣は、我が党の松本大輔議員からの質問であるんです。マスコミの新聞にも載りました。大臣は一転して容認できないというふうに言っているんです、容認できないというふうに、この資料について。私は、だからこそこの資料のどこが容認できないのかということを聞いておるんです、今。聞いているんです。

 ですから、このターゲット戦略のこの資料は、私は今申し上げました、非常に問題があるんではないかということなんです。いかがですか。


○国務大臣(南野知惠子君) IQなどで対象を分類したかのような記載がここにございます。そのことについては容認できないということを申し上げました。

○松岡徹君 IQによって区別するということのどこが容認できないのかということを私は聞いている。私は、だれがこの問題で被害を被る可能性があるかということなんです。確かに、大臣、冒頭答えていただいた、このことによってだれが被害を被るのか、人権侵害被るのかというのは特定できないです、なかなか。しかし、私は被るおそれがある、あるいは助長するおそれがあるというふうに私は申し上げたいんです。これ自身で、この広報戦略を採用して、このことを実行したことによってどんなことが起きるかということは当然考えられます、元々こういうターゲット戦略の組み方というのは。

 まず、私はさっき言ったように、この主婦層、女性の主婦層の方はIQが低いというふうに大臣はお思いですか。


○国務大臣(南野知惠子君) 必ずしもそのようには思っておりません。

○松岡徹君 そうですね。私もそう思います。

 私は、なぜこういうふうな安直なターゲット戦略になるのかというのは、その前提が極めてあいまいだと思うんですね。私は、IQの低い層を主婦層というふうに決め付けてこういう戦略をつくろうとしていること自身が私は女性に対する偏見だと思うんです。そう思いませんか、大臣。


○国務大臣(南野知惠子君) これは、これ個人的な感覚でこの表を作られたというふうに思いますので、私としてはそのようにすることが特に、今先生のような問題ということは意識しておりません。

○松岡徹君 ちょっと、今の答弁ちょっと分かりにくいんですけれども、私は、大臣は人権行政も担当する最高責任者でありますから、ですから聞いているんですよ。私は、これは人権的には問題があるよと、それで細田官房長官も答えているんです。そのどこが問題があるかというところで私は具体的に言っているんです。

 例えば、主婦層をIQの低い層というふうに決め付けているということについては、これは女性に対する偏見をあおるということにはなりませんかと聞いている。


○国務大臣(南野知惠子君) それをそのような区分をしながら行政的に適用をするということは、それはけしからぬということでありまして、行政として容認すべきものではないというところを申し上げたいわけであります。

○松岡徹君 委員長、私、南野大臣も女性ですから、私、素直に、物事そうですけれども、これが問題だといったときにはどこが問題かということを明らかにしなくてはならないんですね。ですから、このターゲット戦略のどこが問題かということを私は言っているんです。

 特に、そういう意味ではその一つの具体例として、このなぜIQ軸でハイとローというふうに分けるということにするのかということ自身も、すなわちIQ指数の低い人たちは社会の中では、社会問題についてはもう非常に無理解な層なんだというふうに決め付けるというのは、私、これ自身も失礼やと思うんですよ。失礼やと思うんですけれども。ただ、その中でも特に女性、主婦層と言うているんです。私は、女性に対するこれは偏見をあおっている、偏見に基づくものだ、偏見に基づくものだというふうに思うんです。

 ですから、容認できないという、そういうことを聞いているんじゃないんです。大臣はそう思いませんかと聞いているんです。もう一度。


○国務大臣(南野知惠子君) 先生の御質問でございますけれども、私の気持ち、心、また答弁といたしましては、対象をIQなどによって分類したかのような、このような記載につきましては行政として容認すべきではないというふうに考えております。

○松岡徹君 ちょっと答弁になってないです。(発言する者あり)

○委員長(渡辺孝男君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕


○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(南野知惠子君) もう一度言い直しますけれども、対象をIQで分類するような記載、これは人権侵害に当たるか否かはともかくとして、不適切な記載であるというふうに思います。

○松岡徹君 質問に答えてほしいんですが、不適切な記載だということ自身は私も理解できます。しかし、何が不適切かということを私は具体的に聞いているんです。その何が不適切かという一つに、このローの、すなわちIQの低い層に主婦層というこの決め付けをしているということ自身は、この主婦層、すなわち女性の方に対する偏見をあおることにはならないですかというふうに聞いているんです。(発言する者あり)

○委員長(渡辺孝男君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕


○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(南野知惠子君) 個別の事案でありますということが第一点でございますが、これにつきましては、偏見かどうかということを調査を今いたしておりませんが、調査なしでそのように確定的なことを申し上げることはちょっと申し上げられないと。

 そして、主婦層を一般にIQが低いというような形でここで表現されていることは、これは私個人としても不適切であるというふうに思っております。女性である私としても不愉快を感じるということを申し上げられるというふうに思っております。


○松岡徹君 何が不適切かということを聞いておりまして、調査しなければ分からないと言うんですけれども、いや、もう、いや、これ、現物あるんですよ。見たでしょう。ごらんになったでしょう。要するに、そういうふうになっているんですよ。

 すなわち、これは特定の女性、主婦のだれだれを指摘しているんではないですが、すなわち女性という、しかも主婦の女性の方々を対象にはっきりしておるんです。今、南野大臣も不愉快だとおっしゃったように、みんな不愉快だと感じるんです。なぜ不愉快かというのは、それは女性に対するやっぱりまだまだこの社会の中に、偏見といいますか差別といいますか、そういった待遇があるからですよ。だから、男女共同参画室ができて、基本法も作ったんでしょう。

 私は、これ自身が今更調査するべき問題じゃないと思うんですよ、この事実そのものは、この事実そのものは。しかも、政府の郵政民営化の広報として扱おうとするターゲット戦略の企画書として出されたやつですよ、これ。それを一体、私は、大臣、人権を担当する最高の責任者である大臣とすれば、そんなレベルでこの広報を企画しているのかと、けしからぬというふうに抗議をして当たり前だと思うんですよ、広報室に。抗議をして当たり前なんですよ。ところが、大臣は容認できないとしか言っていないんですよ。むしろ、細田官房長官の方が許せぬということを言っているんですよ。南野大臣は容認できないと。だからこそ聞いておるんですよ、具体的に。

 女性に対するこういったやり方、女性は、主婦層の女性はIQが低いというような、こういう決め付け方のことで議論がされて、しかも私は、こういうことを考える企画の段階ではまだそれこそ未遂でありますから、しかし、その人たちにどんなやり方をするかという、この行為によって差別は生まれてくるんですよ。偏見をあおることになるんです。

 私は、そういう意味では、人権を守ろうとすれば、予防ということからしても、人権侵害や差別の予防ということからしても、私は、これで実際にどんな個別具体の被害が被られたのかということを、個人には当てはまりませんけれども、しかし、少なくとも女性に対する偏見は、ここでこういう形で決め付けるというのは、明らかに女性に対する偏見をあおるという行為につながりますよと、私はそう思いませんかと。

 当然、大臣自身もこれを見ただけでは、女性がIQは低いんだというような記述になれば、それは私は個人としても不愉快ですとおっしゃるように、大臣だけではなしに、すべての日本の国民の女性は不愉快だと感じますよ。なぜ不愉快だと感じると思いますか。褒められたらうれしいもんです。これは違うんですよ。だからこそ、大臣、これ、これについて不愉快だというレベルではなしに、明らかにこれは女性差別を、女性に対する偏見をあおる結果につながっていくんじゃないですか。あおることになるんではないですか。それを聞いているんです。


○国務大臣(南野知惠子君) この表によりますと、結局、女性一般がIQが低いというような読まれ方ができるようなものでございますので、それについては不適切だというふうに思っております。

○松岡徹君 不適切だというのは、何をもって不適切と言うのかというのをはっきり言うべきだと思うんですよ。

 だから、このIQでこういう分け方するのは不適切だ。なぜ不適切なのか。なぜ不適切なのか。私、女性一般言いませんが、主婦層と言っていますから、結婚している既婚の女性ですよ。既婚の女性です。その層をそういうふうに決め付けているというのは、これは女性に対する偏見をあおることになっていくんではないですかということを言っているんです。だからこそ不適切だというふうになるんじゃないですか。どうですか。


○国務大臣(南野知惠子君) 行政を遂行する上でこのような記載を受け入れて、これを基礎として不適切な行政を行ってはならない、それはずっと思っておりますし、ただ、これが差別助長ではないかというような先生の御趣旨もあろうかと思いますが、この個別の事案につきましては、今申し上げましたけれども、確定的にこれがそうなんだという、これを作った人の意思というものの、意向を聞いておりませんので、それを調査してないと申し上げたんですけれども、そういうような意味では、一定の層を対象に広報活動を行うこと自体が必ずしもその対象とされた層の方々に対する差別的取扱いを助長させる現実的な効果をもたらすとは言えないように思いますので、直ちにそれが差別助長行為に当たるとは言えないというふうに思うわけでございます。

○松岡徹君 大臣、本当に失望しました。失望しました。

 だれが見てもこれ、私が主婦の立場やったら腹立ちますね。何でこんな決め付けをしようとするのか。しかも、これは実行されたんですよ、でしょう。都市部にはこの広報、一千五百万部は回ってないんですよ。これ実行されているんですよ、この広報は。この議論はされて、やられているんですよ。私は、そういう意味では、こういったことについてもっと敏感に、大臣、敏感になってほしいというふうに思います。

 主婦層というふうに決め付け、あるいは、もっと問題なのは、このIQ軸で決め付けるというのが、ここが問題なんですよ。ここが問題なんです。主婦層とか子供とかシルバー層はIQは低い、EQ、ITQは低いというふうにこれ決め付けているんですよ。そこがこれおかしいですよということを私は申し上げているんです。

 ですから、大臣、先ほど、もう一つその答えの中にありましたように、何が人権侵害かいうのを特定する場合、その人権侵害の被害者を特定しなかったら人権侵害かどうかは言えないとおっしゃっています。それに対して、我が党の今までの議論の中で、そしたら人権侵害というのは個人に対してだけ人権侵害というふうになるのか。そうではなくて、その前の差別というのがありますね、差別というのが。これは、差別というのは個人だけではなくて、あるいは特定の団体とか集団とか、そういったものにまでこれ、なると思うんですね。私は、今回の場合、この主婦層というのは、そういった個人ではなくて、そういう特定の層に対する偏見をあおる、それが差別になっているかどうかは別ですよ、偏見をあおる結果になるんではないですかということを私は申し上げているんです。

 当然のように、大臣も女性としてこの記述を見たらちょっと腹が立つといいますか、穏やかではないとおっしゃいました。それと同じなんですね。ですから、私は、これは差別をあおってしまうことになるんではないかということを言っているんです。それはいかがですか。


○国務大臣(南野知惠子君) 先生がお話しになっておられます差別という問題につきましては、ここの紙面に出ております差別表現ということにつきましては、その対象者が特定されている場合のほか、対象者が特定していない場合であっても集団が比較的小さく、集団に属する人々を特定することができる場合には、集団に属する者に対する人権侵害となり得る場合があるというふうに考えております。

 このような厳密な意味での人権侵害に当たらない場合でも、不当な差別的取扱いを助長されるおそれが大きい行為というのは差別助長行為として許されないものと考えております。


○松岡徹君 一般論のそれは分かりますけれども、今回のことがそれに当たるんですか、当たらないんですかということを言っているんです。差別を助長する行為につながりませんかということを聞いているんです。

○国務大臣(南野知惠子君) 今先生の御質問に対しては確定的なことは私から申し上げられないと思います。

○松岡徹君 もう時間が来てしまいましたからこれで終わりたいと思いますが、確定的なこと、何をもって確定的というのか、それ自身もはっきり大臣答えられてないので議論が前へ進まないんですね。そういう意味では、しっかりとした議論をしていきたいというふうに思っております。

 ただ、私は、できるならば官房長官のあの思いというものをしっかりとまずは大臣が受け止めて言うべきだというふうに思うんですよ。当然このことが新聞にもマスコミにも載りました。多くの主婦の方もそれを見ています。当然のように、南野大臣がおっしゃったように、非常に気分が悪いという主婦層の方もたくさんおられます。こういったやり方がまかり通ってしまえば主婦はIQが低いんだというふうになってしまいますよと、だからこそ人権を守る最高責任者である大臣がそれに対してどんなコメントを出すのかということを私は期待をしております。

 私は、そういう意味では、こういった知能指数が低いから、者をターゲットにするというようなやり方が、これ、どこかで聞いたことあるなと思ったら、悪徳リフォーム業者、認知症の高齢者のところに行って、このやり方と一緒やないかというふうに思うんです。

 そういう意味では、事実をしっかりとつかむということは大事ですが、しかし、これははっきりとこういう戦略のペーパーが出ておりますから、これ自身がね。これ自身についてのコメントをしっかりと、どこに人権問題としての課題があるのかとか問題があるのかということをしっかりと大臣は答えるべきだというふうに思います。なぜ容認できないのか、どの部分が容認できないのか、何が不適切なのかということをしっかりと言えるように努力をしていただきたいというふうに思います。

 今日は正に入口のところでございましたけれども、これで終わりたいというふうに思います。

参議院議員 松岡とおる 国会議事録