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 本書で紹介しきれていない差別事件もまだ多くあり、ここでは諸資料の中から集約できたものだけ紹介していく。

 徳島県では、県教委の調べで2000年度に38件の差別落書きが発見されている。ちなみに1989年度から1996年度までの8年間の合計が15件で、1997年度は1年で11件、1998年度15件、1999年度44件となっており、悪質なケースも目立っているという。

 香川県では、2001年までの10年間に香川県同和問題連絡協議会が調べただけで100件を超える差別事件が集約されている。高松市や小豆島などが継続調査中ながら、差別発言41件、差別落書き38件、差別投書10件、結婚差別5件、就職差別5件、差別文書2件がこれまでに集計されている。

 長野県では、長野市だけで明らかになっただけで1975年から85件の差別事件が集約されており、県内の他の市町村を含めるとさらに大きな数字になる。

 京都府では、2001年4月21日から2002年4月12日までの間に41件の差別事件が集約されている。

 鳥取県では、2001年12月に開催された「鳥取市内で相次ぐ差別事件を考えるシンポジウム」で1995年以降の鳥取市内での差別事件が報告・分析されている。内訳は、企業で発生した事件9件、学校教育現場での差別事件14件、差別落書・文書9件、その他の事象1件になり、県全体としては件数がさらに増加する。

 大阪では、大阪府同和事業促進協議会(2002年4月1日より大阪府人権協会に改称)の集約になるが、2001年1月1日から同年12月31日の間に406件の差別事件が報告・確認されている。そのうち部落差別に関わっては252件であり、内訳は表Cのとおりとなる。

 大阪ではさらに、事件の傾向についても触れており、要約すると2000年より連続した事件が増加している、A部落かどうかの聞き合わせが増えている、Bインターネット上の佐部事件について、ホームページの掲示板への書き込みの形で行われ、長期間書き込みが続けられている場合が多く、被差別部落に対する偏った見方や、実際の地区名なども書かれていた。また、地区名をそのまま書くと削除されることがあるので、わざと当て字で書くなど、より巧妙になっている。さらに、暴力的な内容も目立っているとしている。

表C (『あいつぐ差別事件2002』大阪府同和事業促進協議会より)>
  落書き 発言 発言・
落書き
電話 投書 貼り紙 記述 ビラ インター
ネット
部落差別 138 19 0 34 47 2 0 3 9 252

※確認体制

…@大阪府人権室、大阪府教育委員会、大阪市市民局人権啓発課、大阪市教育委員会、 (財)大阪府同和事業促進協議会で確認したものです。

※集計方法

…@連続した事件も1件づつ数えました
…A表…Cは種類ごとの延べ件数であり、差別が複合して起こっている場合は、それぞれ数えなおしています
…B差別事件のうち、「落書」の中には日誌等に書かれたものも含めました。「投書」は特定の個人・団体宛に郵送・投げ込まれたもの、「貼り紙・ビラ」は不特定の人に見られる可能性があるもの。「記述」は出版物等公共性の高いものを分類しました