調査研究

各種部会・研究会の活動内容や部落問題・人権問題に関する最新の調査データ、研究論文などを紹介します。

Home調査・研究部会・研究会活動人権部会 > 学習会報告
部会・研究会活動 <人権部会>
 
人権部会・学習会報告
2000年12月20日

人権擁護推進審議会の救済に関する中間まとめについて

(報告)友永健三 (部落解放・人権研究所)

------------------------------------------------------------------------

 人権擁護推進審議会は、2000年11月28日「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」(以下「中間取りまとめ」と略)を公表した。それに対する部落解放同盟中央本部の見解をもとに報告が行われた。

 「中間取りまとめ」では8点に及ぶ基本的な問題がある。1つめは、新たな方策の確立が求められている深刻な部落差別の実態が「中間とりまとめ」では、明確に認識されていない。2つめは、「差別禁止法」(仮称)の整備の必要性が盛り込まれていない。3つめは、当事者間の話し合い、既存のシステム等による救済によって解決が可能な差別や人権侵害については、それを尊重するという原則を明確にしておくことが必要であるが、この点についても触れられていない。4つめは、警察官や入国管理関係職員、刑務官など公権力の行使に関わる職員による人権侵害に対して、新たに設置される委員会が強制力をともなった調査、並びに是正命令等を行使できる必要があるが、この点の指摘がなされていない。

 5つめは、新たに設置される人権委員会(仮称)は、国家行政組織法第3条に基づく独立委員会とし、部落差別をはじめとした差別や深刻な人権侵害を効果的に解決できるものとすることが必要であるが、「中間取りまとめ」ではこの点でも不明確である。6つめは、中央レベルの人権委員会(仮称)のみならず、少なくとも都道府県・政令都市レベルの人権委員会(仮称)を設置する必要があるが、「中間取りまとめ」ではまったくこの視点がない。また、委員の選任にあたっては、ジェンダーバランス、定住外国人を含むマイノリティ出身者を積極的に選任する必要があるが、この点の指摘がない。7つめは、人権擁護委員の現状をみたとき、抜本的にその在り方を見直す必要があるが、「中間取りまとめ」ではその視点がない。8つめは、新たに設置される人権委員会(仮称)の教育・啓発機能は限定したものとすることが必要であるが、その点の指摘がない。

 以上の基本的な問題点を踏まえ、部落解放同盟中央本部の見解では、逐条的に「中間取りまとめ」の問題点を34点にわたって指摘している。

 2001年5月をメドに『答申』がまとめられることになっているが,各方面から積極的に意見を寄せることが必要である。(豊岡慈子)

関連情報