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人権救済法、第2次「人権教育のための国連10年」をテーマに
関西学長、人権・同和問題担当者懇談会を開催
  関西学長、人権・同和問題担当者懇談会が2003年11月25日、大阪人権センターで開催された。
  以下、その概要を紹介する。

〈第一報告〉

人権救済法の制定にむけて

松岡徹(部落解放同盟中央本部書記長)


  2002年3月通常国会に上程された「人権擁護法案」は、委員会の独自性や実効性の欠如、メディア規制など重大な問題点を含んでおり、日本政府も賛成した「パリ原則」からも大きく逸脱していた。各方面から法案の抜本修正を求める粘り強い取り組みがなされたが、政府・与党がこれをうけいれないまま、10月10日衆議院の解散とともに自然廃案となった。

  しかし、これまでの闘いの到達点を継承し、2001年の人権擁護推進審議会答申、国連の人権諸条約機関からの勧告、与野党協議の合意事項を踏まえて、パリ原則にもとづく新たな「人権侵害救済に関する法律」の制定に取り組んでいきたいとの報告がなされた。

  質疑討論では、新たに提案される法律では差別の禁止、マスコミの取材や報道に対する規制についてどう扱われるかとの質問、韓国の人権委員会を訪問した体験を踏まえて、当事者の訴えを待つまでもなく職権での調査や救済ができる実効性のある委員会をのぞむとの発言がだされた。


〈第二報告〉

「人権教育のための国連10年」の評価と今後の課題

友永健三(部落解放・人権研究所長)


  1995年1月より人権文化を世界中に創造していくことを目的に開始された「人権教育のための国連10年」も残すところ1年余りとなってきた。この間、日本政府、地方自治体、民間団体で行動計画が策定され、2000年12月には人権教育・啓発推進法が制定された。

  この間の取り組みで、

  1. 人権教育の重要性に関する認識が高まる
  2. バラバラに取り組まれていた人権教育の連携を構築した
  3. 被差別者に光が当たるとともに、特定従事者に対する人権教育が重視されだした
  4. 各方面で推進体制、行動計画が整備されだした

など、一定の成果を上げてきた。

  しかしながら内外の厳しい人権状況を直視したとき、第1次の総括を踏まえた、第2次「人権教育のための国連10年」が取り組まれることが求められている。それぞれの大学で「人権教育のための国連10年」の総括と第2次に向けた計画を策定し、日本政府並びに国連、国連人権高等弁務官事務所への第2次に向けた取り組みを要請してほしい、との訴えがなされた。

(文責・事務局)

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