一昨年10月、「人権擁護法案」が廃案になって以降、「人権侵害の被害者救済に関する法律」(「人権侵害救済法」)制定の動きが途絶え、「立法不作為」の状況が続いてきたことに私どもは大きな危惧を抱いてきました。
そうした中で、昨年3月には、私どもも参加している部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会が「人権侵害救済法案要綱」(試案)を策定し、その早期制定を求めてさまざまな取組みを進めてきました。
現在開催されている第162通常国会において「人権侵害救済法」を制定することは、政府責任、政治責任、国際責任からしても必ず実現されるべき重要課題であります。
小泉総理は、今通常国会冒頭の施政方針演説において「人権侵害救済に関する制度については、検討を進めます」と言及され、政府・与党が「法案」の再提出を決定されたことは、歓迎すべきことです。
しかし、マスコミ等でも批判されていますように、再提出される「法案」の内容には大きな問題があります。したがって、廃案になった「人権擁護法案」をめぐる議論の経緯と到達点を踏まえ、近年、深刻化しているさまざまな人権侵害状況に対応できる「独立性」と「実効性」を備えた法律として「人権侵害救済法」が制定される必要があります。
具体的には、<1>創設される中央人権委員会の「政府機関からの独立性」と「人権の総合性・発展性」の確保、<2>「迅速性・簡便性・安心性」を重視した都道府県ごとの地方人権委員会の設置、<3>メディア規制条項の削除、<4>糾弾に対する公権力の不当な干渉の排除、の4点が考慮される必要があります。
私どもは、これらの諸点が真剣に考慮され、充実した法案の再提出とその成立が今国会で図られることを強く願い、ここに決議します。
2005年3月10日
部落解放・人権研究所第61回総会 参加者一同
注:本決議文は3月10日に開催された部落解放・人権研究所第61回総会にて採択され、翌日、内閣総理大臣、内閣官房長官、法務大臣、各党党首、衆参国会議員に送付しました。
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